2026.02.16
MFTとは?MFTが必要なケースや方法、舌癖を放置するリスクについて解説
この記事を監修した人
C&C美原デンタルクリニック院長
杉田彰久
院長の杉田は成人・小児矯正を含めた各種先進医療を幅広く診療しており、口腔内の全体を診る全顎的な治療が可能です。特にマウスピース矯正治療を得意とし、MeLoS認定アライナー教育担当講師でもあります。患者様の希望や不安を丁寧に伺い、幅広い治療計画から患者様に適した治療方法を一緒に考え、地域のかかりつけ歯科医を目指しています。
「歯並びが気になる」「滑舌が悪い」「ついつい口が開いてしまう」もしかすると、これらの悩みは無意識の「舌癖」が原因かもしれません。舌癖は、単に歯並びを乱すだけでなく、呼吸、発音、さらには全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、口腔筋機能療法(MFT)がなぜ必要なのか、そしてその具体的な方法や、舌癖を放置することのリスクについて詳しく解説します。
MFTとは

MFTは「Myofunctional Therapy(口腔筋機能療法)」の略称で、お口の周りの筋肉の機能改善を目指すトレーニングのことです。しかし、これらの筋肉が正しく使えていないと、知らないうちに「舌癖(ぜつへき)」といった誤った癖がついてしまうことがあります。
舌が正しい位置になかったり、唇が常に開いていたりすると、歯並びだけでなく、呼吸や発音にまで影響を及ぼす可能性も考えられます。MFTは、このようなお口の筋肉の誤った使い方を見直し、正しい機能を習得するためのトレーニングです。
MFTは、単に歯並びを整えるだけでなく、呼吸や発音、飲み込みといった機能改善を目指す治療法です。
MFTが必要なケース

舌癖がある場合
舌癖とは、舌が正しい位置にない、または不適切な動きを繰り返してしまう習慣です。多くの場合、患者さんは気づかないうちに身につけていますが、MFTが非常に必要とされます。
本来、舌は上あごのスポットポジションに収まっているのが理想ですが、舌癖がある方は、舌が正しい位置になく、様々な問題を引き起こします。
舌癖には、舌突出癖や低位舌があります。これらの舌癖を改善するためには、MFTによって舌の正しい位置と動きを習得することが大切です。
舌小帯に異常がある場合
舌小帯とは、舌の裏側と下あごの中央部分をつないでいるひだのことです。この舌小帯が生まれつき短すぎたり、舌の先端に近い位置についていたりすると、舌の自由な動きが制限されてしまうことがあります。
舌小帯に異常があると、舌を上あごの正しい位置に持ち上げることが難しくなります。
これにより、常に舌が低い位置にある低位舌の状態になりやすく、上あごの骨が十分に発達しない可能性があります。MFTは、舌小帯の異常によって生じた口腔機能の問題を改善し、より良いお口の環境を整える上で重要な役割を担います。
これから歯列矯正を受ける場合
歯列矯正は、歯並びを整え見た目を美しくするだけでなく、噛み合わせを改善し、お口全体の健康を向上させるための大切な治療です。
私たちは、歯列矯正を成功させるためには、歯を動かす外側からの力だけでなく、舌の正しい動きによる内側からの力も重要だと考えています。
MFTによって正しい口腔筋機能が身につけば、歯を内側から安定させる力が働き、治療後の美しい歯並びを長く維持することができます。
このように、MFTは歯列矯正治療を成功させるための土台作りとして、非常に価値のある治療法と言えるでしょう。
MFTを行うメリット

歯列矯正の効果を得やすくなる
歯列矯正治療を検討されている方にとって、MFTは非常に大きなメリットをもたらします。歯並びの乱れは、遺伝的な要因だけでなく、舌の癖や口の周りの筋肉の使い方が原因であることも少なくありません。
MFTは、このような根本的な問題にアプローチすることで、歯列矯正の効果をより確実に、そして持続的に得られるようにサポートします。
私たちが歯並びを診察する中で、舌の力が歯を内側から押し続けることで、矯正治療がスムーズに進まないケースを多く経験しています。MFTは、この内側からの「悪い力」を「良い力」に変える手助けをします。
MFTは、歯列矯正の効果を最大限に引き出し、美しい歯並びを長く保つために欠かせない、非常に有効な治療法と言えるでしょう。
歯や顎が発育しやすくなる
成長期のお子さまにとって、MFTは歯や顎の発育を促す上で重要な役割を果たします。舌が正しい位置にあることは、上あごの骨が発達するために不可欠です。舌が上あごを刺激することで、上あごは横方向にも成長し、アーチ状の歯列弓が形成されやすくなります。
歯が並ぶスペースが確保され、将来的に歯がガタガタになるのを防ぐことができます。MFTは歯並びを良くするだけでなく、お子さまの成長をサポートし、将来のお口と顔の発育を助けるトレーニングなのです。
全身の健康に繋がる
MFT(口腔筋機能療法)は、お口の中の筋肉のトレーニングですが、その影響は実はお口の中だけにとどまりません。口腔機能は、全身の健康と密接に関わっており、MFTを通じてお口の機能を改善することは、体全体の健康状態の向上に大きく貢献します。
意外に思われるかもしれませんが、お口の正しい使い方は、私たちの生活の質に深く関わっています。
MFTは歯並びや顔の形だけでなく、呼吸、睡眠、免疫、姿勢といった全身の健康状態にまで良い影響を及ぼす、非常に価値のある治療法です。私たちは、患者様の全身の健康を見据え、口腔機能の改善に力を入れています。
MFTをせず舌癖を放置すると
どうなる?

歯並びが悪くなる
舌は通常、上あごの「スポットポジション」に収まり、歯並びの安定を助けます。しかし、舌癖があると、舌が前歯や横の歯を押し、歯並びの乱れにつながることがあります。歯はわずかな力でも、長期間同じ方向からの圧力が加わると動いてしまうためです。
特に成長期のお子さまの場合、骨が柔らかく、歯が動きやすいため、より影響を受けやすいと言えます。舌癖は歯並びを乱す根本的な原因となるため、早期に改善することが重要です。
滑舌に影響が出る
舌は、言葉を正しく発音するために複雑かつ繊細な動きをしています。特に「サ行」「タ行」「ラ行」などの子音を発する際には、舌の先端が前歯の裏側や上あごの特定の位置に正確に触れる必要があります。
しかし、舌癖があると、舌が正しい位置に収まらなかったり、発音時に不必要な動きをしてしまったりすることがあります。「サ行」「タ行」「ラ行」の音が特に不明瞭になる傾向があり、滑舌を良くすることは、社会生活における自信と自己表現の向上にもつながります。
口呼吸になる
低位舌の場合、口が半開きになりやすく、口呼吸を誘発することがあります。口呼吸を放置すると、虫歯や歯周病のリスク増加、口臭の悪化、風邪や感染症にかかりやすいなど、様々な問題が起こりやすくなります。
口呼吸によって口の中が乾燥しやすくなり、唾液の自浄作用が弱まることで、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
口が常に開いた状態が続くと、口周りの筋肉が緩み、たるみが生じやすくなります。口呼吸は、長期的に見ると、全身に悪影響を及ぼす重大な問題です。
MFTの主な方法

ポッピング
ポッピングは、舌の正しい位置を意識し、舌と上あご(口蓋)の吸着力を高めるための重要なトレーニングです。
舌が常に上あごに吸い付いている状態は、歯並びの安定や上あごの適切な発育、さらには鼻呼吸の習慣化に欠かせない要素となります。
舌が上あご全体にしっかりと吸い付く力は、お口の機能を正しく使うための土台となるため、MFTの基本として多くの患者様におすすめしています。
ポッピングを繰り返すことで、舌の筋力が強化され、無意識のうちに舌が正しい位置に保たれるようになります。舌の吸着力が向上すると、口を閉じる力が強まり、口呼吸の改善にもつながります。
スポットポジション
スポットポジションは、舌の先端が本来あるべき位置のことです。
MFTのトレーニングにおいて基本となる重要な舌の位置です。舌の先端は前歯の裏側にある、少し盛り上がった部分のすぐ後ろに置くのが正しいとされています。この正しい舌の位置を覚えることで、飲み込む動作や発音、そして歯並びに良い影響を与えることができます。
スポットポジションを習慣にすることで、舌の筋肉のバランスが整い、上あごの適切な発育が促されます。歯並びの不正を防ぎ、さらには顔貌の調和にもつながるステップです。
ティップ
ティップは、舌の先端を意識的に動かすことで、舌の筋肉の柔軟性とコントロール能力を高めるトレーニングです。
舌の細かい動きは、食べ物を口の中でまとめる際や、言葉を明瞭に発音する上で非常に重要です。このトレーニングを通じて、舌が正しい位置に留まるための筋力を養い、特定の音を発する際の舌の動きをスムーズにする効果も期待できます。
ティップトレーニングを継続することで、舌の細かい動きがコントロールできるようになり、発音の明瞭化や食べ物の飲み込みがスムーズになるなど、MFTの効果をさらに高めることができます。
スラープスワロー
スラープスワローは、正しい飲み込み方(嚥下:えんげ)を身につけるための重要なトレーニングです。
MFTでは、舌の正しい安静時の位置と合わせて、食べ物や唾液を飲み込む際に舌が上あごにしっかり吸い付くようにすることが非常に重要だと考えられています。このトレーニングを繰り返すことで、舌の筋肉を使った正しい飲み込み方が習慣になり、舌癖の改善や歯並びへの良い影響が期待できます。
飲み込み方が改善されると、食事の際の満足度も向上します。慣れてきたら徐々に液体の量を増やしたり、ペースト状のものや固形物でも試してみるのも良いでしょう。
ポスチャー
ポスチャーは、舌の正しい安静時の位置を意識するトレーニングです。舌が正しい位置にないと、歯並びの悪化や口呼吸の原因になることがあります。
正しい舌のポスチャーは、舌の先端がスポットポジションに軽く触れ、舌の中央部から後方が上あご全体に吸い付いている状態が理想的です。
ポスチャートレーニングでは、意識して舌の先端をスポットポジションに置き、舌全体を上あごに吸い付けます。継続的にポスチャーを意識することで、MFTの効果を最大限に引き出すことができます。
ボタンプル
ボタンプルは、口唇の周りの筋肉、特に口輪筋を強化するための効果的なトレーニングです。
口輪筋は、口を閉じたり、すぼめたりする際に使う大切な筋肉です。このトレーニングは、口唇の筋力を高め、口を閉じる力を強化する効果が期待できます。さらに、発音の明瞭度を向上させ、滑舌を良くする効果も期待できます。
ボタンプルを続けることで、口唇の筋力が向上し、MFTの効果をさらに高めます。これにより、お口周りの健康を守り、より魅力的な笑顔につながるでしょう。
MFTを検討している方は、
堺市美原区の
「C&C美原デンタルクリニック」へ
ご相談ください

MFT(口腔筋機能療法)がお口の機能や歯並び、さらには全身の健康に深く関わっていることをご理解いただけたでしょうか。
当クリニックでは、MFTを通じて、患者様一人ひとりの健康をサポートしたいと考えております。患者様の現在の状態を詳しく診察し、舌の動きや癖、お口周りの筋肉のバランス、そして歯並びなどを総合的に評価いたします。
評価結果をもとに、患者様それぞれに合わせた最適な治療計画をご提案いたします。正しい方法で継続することで、効果を実感していただけるはずです。MFTについて少しでも気になることがございましたら、堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へお気軽にご相談ください。