2025.08.22
小児矯正はいつから始めるべき?どれくらいの期間がかかる?歯科医師が解説
「うちの子の歯並び、本当に大丈夫かな?」と可愛いお子さんの口元を見て、ふと心配になることはありませんか。実は、小児矯正には顎の成長を最大限利用する6歳から10歳頃の「1期治療」と、永久歯が生えそろった12歳頃から本格的に行う「2期治療」という、大きく2つの最適なタイミングが存在します。後悔しない賢明な選択のために、まずは2つの治療の明確な違いを知ることから始めませんか?
小児矯正は
いつから始めるのがベスト?

Ⅰ期治療の場合
1期治療は、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に行う治療で、一般的に6歳から10歳頃が治療に適した時期です。この時期は顎が活発に成長する重要な期間であり、成長する力を利用し、顎の骨格的な問題を改善することが目的です。具体的には、歯がきれいに並ぶためのスペースを確保したり、出っ歯や受け口の原因となる顎のアンバランスを整えます。
1期治療では、顎の成長を正しい方向へ導き、顎が狭い場合は装置で広げ、将来、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保します。1期治療で土台を整えておくと、将来的に健康な永久歯を抜かずに済む可能性が高まります。
Ⅱ期治療の場合
2期治療は、全ての歯が永久歯に生えそろった後に行う矯正治療です。1期治療が顎の骨を整える治療であったのに対し、2期治療は歯そのものを動かし見た目と噛み合わせを整える治療です。1期治療を行わずに2期治療から始めることも可能です。
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットを付けワイヤーを通して動かします。マウスピース型矯正装置は、透明で取り外し可能なマウスピースを交換して歯を動かします。2期治療から始める場合、歯を並べるスペースが不足することがあります。
小児矯正にかかる期間は
どれくらい?

Ⅰ期治療の場合
1期治療にかかる期間の目安は2年~4年で症状や成長の速さで個人差があります。この期間には、大きく分けて2つのフェーズが含まれます。
積極的治療期間 |
矯正装置を使い、顎の骨の成長を促したり、バランスを整えたりします。 |
経過観察期間 |
装置を外した後、顎の骨が安定し、永久歯が正しく生えるかを見守ります。1期治療で土台が整うと、次の2期治療が不要になることもあります。 |
たとえ2期治療が必要でも、治療期間の短縮や抜歯の回避につながります。まずはお子さまのお口の状態を専門家に見せ、相談することが重要です。
Ⅱ期治療の場合
2期治療のタイミングと期間の具体的な目安は以下のとおりです。
永久歯が完全に生えそろう12歳頃から始めるのが一般的で、顎の成長も比較的落ち着き、治療計画が立てやすくなります。歯並びの状態に大きくよりますが、矯正治療期間はおよそ1年から3年程度が目安です。矯正装置を外した後には、後戻りを確実に防ぐ保定期間があり、リテーナーを使って歯並びを安定的に定着させます。
1期治療を行わずに2期治療から始めることも可能ですが、顎のスペースが著しく不足している場合は、抜歯が必要になることがあります。
小児矯正にかかる費用は
どれくらい?

Ⅰ期治療の場合
1期治療は、乳歯と永久歯が混在する6歳から12歳頃が中心です。顎の骨がまだ成長段階にある、この時期ならではの治療法といえます。この治療の最大の目的は、顎の成長を適切にコントロールすることです。
永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保し、顎の上下左右のズレを改善します。将来的に健康な永久歯を抜かずに済んだり、外科手術を回避できたりする可能性を高める重要な治療です。
費用相場は10万円~50万円程度と幅があります。これは、指しゃぶりなどの癖の改善で済む場合から、顎の骨を広げる大がかりな装置が必要な場合まで、治療内容が多岐にわたるためです。
Ⅱ期治療の場合
2期治療は、全ての歯が永久歯に生えそろった後(おおむね12歳以降)に行います。大人の矯正治療とほぼ同じ内容で、歯の一つひとつを精密に動かしていきます。最終的な美しい歯並びと、正しい噛み合わせの確立を目指す治療です。1期治療で顎の骨格という「土台」がしっかり整っていると、この2期治療が不要になることもあります。
また、治療が必要な場合でも、抜歯を避けられたり治療期間が短くなったりと、負担を軽減できるケースが多いです。費用相場は30万円~110万円程度が目安です。使用する装置の種類によって費用が大きく変動します。
小児矯正をする
メリット・デメリット

メリット
小児矯正の大きな利点は、顎の骨の成長を利用できる点です。骨が柔らかい時期に適切な力を加えることで、顎の成長を正しい方向へ導きます。これにより、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保しやすくなります。
また、将来的な歯並びの問題を未然に防ぐことにもつながります。小児期に顎の土台を整えておくことで、外科手術などの処置を避けられる可能性が高まります。歯並びが整うと、見た目だけでなくお口の機能も向上し、お子様の全身の健康にも良い影響を与えます。
しっかりと噛めるようになると、食べ物の消化・吸収が助けられ、胃腸への負担が軽くなり、成長期のお子様の栄養摂取にもつながります。見た目のコンプレックスが解消されることで、お子様の自信につながります。
デメリット
小児矯正は、顎の成長を利用する計画的な治療であるため、時間と費用がかかります。そのため、治療を始めるにあたっては、十分な情報収集と検討が重要です。小児矯正は基本的に保険適用外の自由診療です。費用は治療内容により異なり、第一期治療で30万~50万円程度が目安となります。
また、使用する矯正装置の種類によっても費用が変動することがあります。矯正装置の周りは構造が複雑で、歯ブラシが届きにくくなります。そのため、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングが不可欠です。小児矯正を成功させるには、ご家族のサポートと本人のやる気が欠かせません。
治療で動かした歯は、元の位置に戻ろうとする「後戻り」という性質があります。そのため、治療後は保定装置(リテーナー)を使用して、歯の位置を安定させる必要があります。
小児矯正が必要な歯並びとは?

出っ歯
上顎前突(出っ歯)は、上の前歯や上顎全体が、下の歯よりも過度に前に突き出ている歯並びです。口が閉じにくく、無意識のうちに口がポカンと開いてしまうため、口呼吸になりやすい傾向があります。長期的な口呼吸は、顔周りの筋肉のバランスを崩す一因です。転んだりぶつかったりした際に、前に出ている前歯を強く打つ危険性が高まります。
受け口
下顎前突(受け口)は「反対咬合」とも呼ばれ、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。前歯で食べ物をうまく噛み切れなくなるため、食事を丸飲みしがちになるなど、消化器官への負担も懸念されます。空気が漏れやすくなるため、特にサ行やタ行などの発音が不明瞭になることがあります。放置すると、下顎の骨が過剰に成長するのを助長してしまう恐れがあります。
八重歯・叢生
叢生と八重歯は、主に歯と顎の大きさのアンバランスによって起こります。叢生は、顎が小さく歯が並ぶスペースが足りないために、歯が重なり合ったり、ねじれて生えたりしている状態です。
叢生の場合、歯ブラシが届きにくい部分が多く、汚れが溜まりやすくなるため、虫歯や歯肉炎の直接的な原因となる歯垢が残りやすくなります。特に炎症を起こしやすい歯茎の状態が続くと、将来的に歯周病につながる可能性も高まります。歯並びの乱れを気にして、人前で自然に笑うことに抵抗を感じる人もいます。
空隙歯列
空隙歯列は歯と歯の間に隙間が空いている状態です。永久歯に生え変わった後も隙間が目立つ場合は、注意が必要です。歯の隙間から息が漏れて発音しにくくなることや、食べ物が歯の間に挟まりやすく不快感を覚えることもあります。隙間を埋めようと舌で歯を押す癖を誘発し、さらに隙間を広げてしまう悪循環に陥ることもあります。
過蓋咬合・開咬
過蓋咬合と開咬は、上下の歯の垂直的な位置関係に問題がある状態です。過蓋咬合は、噛み合わせたときに上の前歯が下の前歯を深く覆い隠してしまい、下の前歯がほとんど見えない状態です。
この状態は、見た目にも影響を与えるだけでなく、顎関節への負担も大きくなる可能性があります。噛み合わせが深すぎるため、前歯に過度な力がかかり、正常な状態よりも早くすり減ってしまうことがあります。
開咬は、奥歯でしっかり噛んでも、上下の前歯が噛み合わずに隙間が空いてしまう状態です。発音にも影響が出ることがあり、特にサ行やタ行の発音が不明瞭になることがあります。
本来はすべての歯で分散するはずの噛む力が、奥歯に集中し、奥歯がすり減ったり、最悪の場合は割れてしまったりするリスクが高まります。無意識に前歯の隙間を舌で塞ごうとする癖(舌突出癖)を伴うことが多く、この癖が開咬の状態をさらに悪化させる原因となります。
小児矯正の種類一覧

- 床矯正装置(拡大床)顎を広げ歯が並ぶスペースを作ります。取り外し可能な装置です。
- マウスピース型装置口周りの筋肉を整え、歯並びを乱す癖の改善を促します。
- 急速拡大装置上顎の骨を短期間で広げる固定式の装置です。ご自身での着脱はできません。
- リンガルアーチ歯の裏側に装着するワイヤーです。奥歯が前にずれるのを防ぎスペースを確保します。
- ヘッドギア上顎の成長を抑えたり、奥歯を後ろに動かしたりするために使います。
小児矯正をいつから始めるか迷っている方は、
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お子さんの歯並びが気になる親御様にとって、小児矯正は費用や治療期間、方法など、様々な不安がつきものです。お子さんの歯並びに関するお悩みやご不安は、C&C美原デンタルクリニックの無料相談で解消してみませんか?経験豊富なスタッフが、親御様とお子さんをサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。