2025.11.07
乳歯のうちに歯列矯正を始める目的とは?効果的な歯並びやタイミングなど
この記事を監修した人
C&C美原デンタルクリニック院長 杉田彰久
院長の杉田は成人・小児矯正を含めた各種先進医療を幅広く診療しており、口腔内の全体を診る全顎的な治療が可能です。特にマウスピース矯正治療を得意とし、MeLoS認定アライナー教育担当講師でもあります。患者様の希望や不安を丁寧に伺い、幅広い治療計画から患者様に適した治療方法を一緒に考え、地域のかかりつけ歯科医を目指しています。
「まだ生え変わる歯なのに、矯正なんて早すぎるのでは?」多くの方がそう考えるかもしれません。お子さまの顎の成長がピークを迎える10歳頃までの期間は、歯並びの土台を作る、二度と戻らない「ゴールデンエイジ」です。
この記事では、乳歯矯正の本当の目的から、お子さまの症状に合わせた最適な開始時期、治療法までを徹底解説します。お子さまの健やかな未来のために、後悔しない知識を今、手に入れてください。
乳歯のうちに歯列矯正を
始める目的

「まだ生え変わる歯なのに、なぜ矯正が必要なの?」お子さまの歯並びについて、このように思われる保護者の方も多いでしょう。乳歯の時期に行う歯列矯正は、見た目を整えることだけが目的ではありません。
主な目的は、大きく分けて次の3つです。永久歯が並ぶためのスペースを確保すること、顎の健やかな成長を促すこと、歯並びに影響する癖を改善することです。
お子さまの成長期は、お顔の骨格も大きく成長するとても大切な時期です。指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、口をぽかんと開けている口呼吸などは、歯並びを乱す原因になります。矯正装置の使用や口周りの筋肉のトレーニングを通して、これらの癖を改善に導くことも重要な目的です。
乳歯矯正をはじめるタイミング

お子さまの歯並びが気になったとき、多くの方が「いつ相談すべきか」と悩むでしょう。乳歯の矯正治療を始める適切な時期は、お子さま一人ひとりの歯や顎の成長段階によって異なります。
第一期治療は、顎の成長を利用して骨格のバランスや大きさを整える治療で、永久歯がきれいに並ぶための土台作りが主な目的です。乳歯と永久歯が混在する6歳から12歳頃の「混合歯列期」が、顎の成長を利用しやすいため治療に適した時期です。
お子さまの成長には個人差があるため、歯並びや噛み合わせで気になる点があれば、まずは一度お気軽に歯科医院へご相談ください。
乳歯矯正が効果的なケースとは

「うちの子の歯並び、このままで大丈夫かな?」保護者の方から、このようなご相談をいただくことは少なくありません。乳歯の歯並びは、永久歯が正しく生えるための大切なものです。
お子さまに以下のような様子が見られる場合は、一度ご相談いただくことをおすすめします。
- 反対咬合反対咬合とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。
- 上顎前突上顎前突とは、上の前歯が大きく前に突き出ている歯並びです。
- 開咬開咬とは、奥歯でしっかり噛んでも、上下の前歯の間に隙間ができてしまう状態を指します。
- 叢生叢生とは、顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りずに重なり合っている状態です。
- 過蓋咬合過蓋咬合とは、噛み合わせたときに、下の前歯が見えなくなるほど上の前歯が深く被さっている状態です。
少しでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
乳歯矯正で使用する装置

マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを歯に装着し、歯並びを整える治療法です。お子さまの歯の形に合わせてオーダーメイドで作成され、治療の段階に合わせて定期的に新しいものに交換しながら、少しずつ歯を動かしていきます。
最大の特長は、装置が透明で目立ちにくいことで、見た目を気にされるお子さまも、抵抗なく治療を受けやすいでしょう。また、食事や歯磨きの際にはご自身で簡単に取り外せるため、普段通りの生活が送れます。
この治療法で最も大切なのは、決められた装着時間を守るという自己管理です。装着時間が短いと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びてしまう原因になります。お子さま自身の協力が不可欠となる治療法です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表面全体にブラケットという装置を接着し、そこにワイヤーを通して持続的に力をかけ歯を動かす方法です。歯科医師が歯一本一本を精密かつ丁寧に動かせるため、対応できる症例の幅が広いのが強みです。
さらに、患者さんの希望や歯の状態に合わせて、様々な種類のブラケットやワイヤーを柔軟に選択できます。近年では、金属製だけでなく、目立ちにくいセラミック製のブラケットも容易に選べるようになっています。
装置は歯に直接固定するため、24時間継続して歯に均等に力をかけることができます。装置の周りはどうしても汚れが溜まりやすいため、毎日の丁寧な歯磨きが虫歯予防のために非常に重要になります。
ヘッドギア
お口の中の装置と、頭や首にかける装置を組み合わせて使用する矯正装置です。特に、上顎前突(出っ歯)の治療において、その効果を発揮します。この装置の役割は、強すぎる上の顎の成長を適切な方向へコントロールすることです。
具体的には、上顎の過成長を抑制し、下顎とのバランスを整えることを目指します。顎の骨がまだ柔らかく、成長段階にあるお子さまの時期だからこそ、高い効果が期待できる治療法です。
この治療を適切な時期に行うことで、将来本格的な矯正治療(第二期治療)が必要になった際に、健康な永久歯を抜かずに済む可能性が高まります。また、外科的な手術を回避できる可能性も生まれます。
拡大装置
拡大装置とは、歯が並ぶ土台となる骨を側方へ広げるための装置です。顎が小さいために永久歯が並ぶスペースが足りず、歯がガタガタになってしまう「叢生」の予防や改善に用いられます。
成長期のお子さまは、骨の継ぎ目がまだ固まっていないため、この装置を使って少しずつ力を加えることで、無理なくスムーズに顎の幅を広げることが可能です。
この治療法は、お子さまの成長に合わせた矯正治療において、非常に有効な手段と言えるでしょう。痛みはほとんどなく、顎の骨が広がっていくことで、将来の抜歯のリスクを大きく減らすことができます。
乳歯矯正で失敗しないために

信頼できる歯科医院を選ぶ
お子さまの歯の治療を任せるなら、信頼できる歯科医院選びが重要です。歯科医院によって治療方法や雰囲気が異なるため、慎重に選ぶことが大切です。後悔しないために、歯科医院選びのポイントをチェックしましょう。
矯正治療の経験豊富な医師がいるか確認しましょう。特に、小児矯正は専門的な知識と技術が必要となるため、経験豊富な医師を選ぶことが望ましいです。
治療前の検査や説明が丁寧で分かりやすいか確認し、患者さんの疑問や不安に寄り添い、納得できるまで説明してくれる姿勢が重要です。
事前にリスクを確認しておく
どのような医療にもメリットがある一方で、副作用やリスクが伴う可能性があります。乳歯矯正も例外ではありません。主に考えられるリスクと対策は以下の通りです。
| 痛みや違和感 |
痛みは通常2〜3日で落ち着きます。 |
| 虫歯や歯周病のリスク |
毎日の丁寧な歯磨きが不可欠です。 |
| 治療期間の変動 |
決められた装着時間を守るなど、お子さま自身の協力が大切です。 |
| 後戻り |
治療終了後に保定装置を使用し、歯並びを安定させます。 |
これらのリスクについて事前に歯科医師から説明を受け、納得した上で治療を開始しましょう。
矯正終了後も定期検診を受ける
矯正治療後の保定は、きれいになった歯並びを維持するために不可欠であり、装置が外れた後も油断は禁物です。せっかく苦労して手に入れた美しい歯並びを、保定を怠ったせいで台無しにしてしまうケースも少なくありません。
後悔しないためにも、保定の重要性をしっかりと理解しておきましょう。歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぎ、歯並びを安定させる期間を「保定期間」と呼びます。
保定期間中は、数ヶ月に一度のペースで通院していただきます。検診では、歯並びが後戻りしていないか、リテーナーが適切に機能しているかなどをチェックします。
同時に、虫歯や歯肉炎の有無なども注意深く観察します。保定期間中の口腔ケアも、美しい歯並びを維持するためには非常に大切です。
口腔習癖を改善する
歯並びは、遺伝だけでなく日々の癖によっても大きな影響を受け、特に成長期のお子さまの顎の骨や歯は柔らかいため、無意識の癖が歯並びを乱す原因となることがあります。これを「口腔習癖」と呼びます。
歯並びに影響を与える主な口腔習癖として、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖は出っ歯や開咬の原因になり、唇を噛む、吸う癖は下唇を噛む癖は出っ歯に、上唇を噛む癖は受け口につながりやすくなります。
また、口呼吸は歯が前方に傾きやすくなり、口周りの筋肉のバランスも崩してしまいます。ご家庭でもお子さまの癖に気を配り、親子で一緒に改善に取り組むことが、治療を成功させるための大切なポイントです。
乳歯の矯正を検討している方は、
堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください

乳歯の矯正を検討している方は、堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください。
お子さまの歯並びについて、いつから治療を始めるべきか悩まれるのは当然です。乳歯の矯正は、お子さまの顎の成長段階を見極めることが非常に重要になります。
堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」では小児矯正を得意としています。精密検査を徹底し、お子さま一人ひとりの成長予測に基づいた治療計画をご提案します。マウスピース矯正や拡大装置など、お子さまへの負担も考慮した方法を考えます。
まずはお気軽にご相談ください。無料の矯正相談も行っております。