2025.11.28
子どものすきっ歯は治療すべき?自然に治る?治療開始時期の目安など解説
この記事を監修した人
C&C美原デンタルクリニック院長
杉田彰久
院長の杉田は成人・小児矯正を含めた各種先進医療を幅広く診療しており、口腔内の全体を診る全顎的な治療が可能です。特にマウスピース矯正治療を得意とし、MeLoS認定アライナー教育担当講師でもあります。患者様の希望や不安を丁寧に伺い、幅広い治療計画から患者様に適した治療方法を一緒に考え、地域のかかりつけ歯科医を目指しています。
お子さまの歯に隙間があると、「自然に治るのかな?」「治療はいつから?」と心配になる保護者の方は少なくありません。そのすきっ歯は、実は単なる成長の一過程ではないかもしれません。また見た目の問題だけでなく、発音や咀嚼にも影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
この記事では、治療が必要なすきっ歯のサインや放置するリスク、そして最適な治療開始時期について詳しく解説します。
子どもがすきっ歯になる原因

指しゃぶりや口呼吸などの口腔習癖
指しゃぶりは、指を吸う力が継続的に前歯にかかることで、上の前歯が前方に押し出され、下の前歯は内側に倒れ込み、出っ歯とすきっ歯の原因になります。
舌で前歯を押す癖は、食べ物や飲み物を飲み込むときや、話しているときに無意識に舌で前歯の裏側を押してしまう癖です。この癖があると舌が低い位置にあり、常に前歯を外側に押してしまい、この弱いながらも持続的な力が、歯を動かし、すきっ歯や開咬を引き起こします。口呼吸が習慣になると、お口周りの筋肉のバランスが崩れ、唇が常に開いているため、歯並びを内側から支える舌の力が機能しなくなります。
この結果、外側と内側からの支えを失った歯列は、横に広がったり、前方に傾いたりして、すきっ歯の原因となり得ます。
上唇小帯の異常
「上唇小帯」とは、上の唇の裏側から歯ぐきのほぼ中央あたりに向かって伸びているスジのことです。通常、このスジは成長するにつれて、歯の根元から徐々に上方向へ移動していきます。しかし、生まれつきこのスジが太かったり、付いている位置が非常に低く、上の前歯の真ん中に深く入り込んでいたりすることがあります。
上唇小帯が前歯と前歯の間にあると、物理的な障害物となり、歯が中央に寄るのを妨げてしまいます。その際は、スジを軽く切る簡単な処置(上唇小帯切除術)で改善が期待できます。
歯が少ない、小さい
歯が小さい(矮小歯)とは、顎の大きさは標準的なのに、生まれつき歯のサイズが通常よりも小さい状態を指します。特に、上の前から2番目の歯が、鉛筆の先のように尖った形や小さい形で生えてくることがあります。
歯の数が少ない(先天性欠如)とは、永久歯のもとになる歯胚が生まれつき作られず、永久歯の数が足りない状態のことです。本来生えてくるはずの歯がないため、その部分が隙間として残ってしまったり、隣の歯が隙間に向かって倒れ込んできたりして、歯並び全体に影響を及ぼします。
歯が多い
歯の数が少ないのとは逆に、本来の歯の数よりも多く歯が作られてしまうことがあります。この余分な歯を「過剰歯」と呼び、すきっ歯の直接的な原因になることがあります。過剰歯は、上の前歯の真ん中あたりにできることが最も多く、多くは顎の骨の中に埋まったままで外からは見えません。
過剰歯が原因ですきっ歯になっている場合は、その歯を抜く処置が必要になることが多く、早期発見と適切なタイミングでの対応が重要になります。過剰歯は、乳歯の生え変わりが遅いといった理由でレントゲンを撮影した際に、偶然発見されることがほとんどです。
子どものすきっ歯治療を
始めるべきタイミング

お子さまの歯に隙間があると、「治療は必要なのか」と悩まれるかもしれません。子どものすきっ歯には、成長の一環として自然に閉じるものと、歯科医院での対応を考えたいものがあります。
まず、乳歯の時期に見られる隙間は、ほとんどの場合で心配ありません。これは「発育空隙」と呼ばれ、後から生える永久歯のための大切なスペースです。
一方で、以下のようなサインが見られる場合は、治療を検討することをお勧めします。
治療を検討したいすきっ歯のサイン
- 永久歯が生えそろっても隙間がある
- 前歯の真ん中のスジが目立つ
- 歯の形や大きさが不自然
- 発音に影響が出ている
まずは歯科医院でレントゲン検査などを受け、隙間の原因を正確に診断してもらうことが重要です。
子どものすきっ歯を
放置するとどうなる?

滑舌に悪影響がある
歯と歯の間に隙間があると、話すときにそこから息が漏れて言葉がはっきりしないことがあります。影響が出やすい発音の例として、サ行、タ行、ラ行があげられます。これらの音を正しく発音するためには、舌先を上の前歯の裏側近くにある歯ぐきの膨らみにつける必要があります。
しかし、前歯に隙間があると、無意識にその隙間を舌で塞ごうとして舌が前に出る癖がついてしまうことがあります。その結果、空気が隙間から漏れてしまい、不明瞭な発音になりがちです。もしお子さんの滑舌が気になり、その原因がすきっ歯にあるかもしれないと感じたら、一度専門家にご相談ください。
虫歯や歯周病になりやすくなる
すきっ歯は歯磨きがしやすいと思われがちですが、実際には食べ物が挟まりやすく、お口のトラブルの温床になることがあります。特にお肉や繊維質の野菜などは、すきっ歯に挟まりやすい代表例です。
その結果、お口の中に汚れが残りやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。さらに、歯ブラシの毛先が届きにくいため、通常の歯磨きでは汚れを落としきれないことも少なくありません。
すきっ歯の隙間を放置すると、口臭の原因になることもあります。毎日の丁寧な歯磨きはもちろん大切ですが、汚れがたまりやすい環境そのものを改善することも、将来のお口の健康を守るための有効な選択肢となります。
見た目のコンプレックスになり得る
前歯のすきっ歯は、お顔全体の印象に影響を与えやすいため、見た目を気にするお子さんも少なくありません。歯並びを気にすることで、人前で自然に笑えなくなる、大きな口を開けて話すことに抵抗を感じるといった気持ちや行動の変化につながる可能性があります。
歯並びの悩みは、適切な時期に治療を行うことで改善できる場合が多く、自信を取り戻す大きなきっかけにもなります。見た目の問題だけでなく、発音や清掃性の問題にもつながっていることを伝え、前向きに相談できる環境を作ってあげましょう。
子どものすきっ歯の治療方法

インビザラインファースト
インビザラインファーストは、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」のお子さまを対象としたマウスピース型矯正装置です。この治療の最大の目的は、将来生えてくる永久歯がきれいに並ぶための「土台作り」です。顎の骨の成長を利用して歯列の幅を広げ、永久歯のためのスペースを確保します。
インビザラインファーストは透明なマウスピースなので、学校生活でも見た目を気にせず過ごせます。食事や歯磨きの際には自分で取り外せるため、お口を清潔に保ちやすいです。1日20時間以上の装着が必要なため、ご家族のサポートが大切になります。
マイオブレース
マイオブレースは、すきっ歯など歯並びの乱れを引き起こす「根本原因」にアプローチする治療法です。お口周りの筋肉機能を整える「口腔筋機能療法」という考えに基づきます。対象年齢は主に顎の成長が活発な5歳から15歳です。
治療は日中1〜2時間と就寝中に装置を装着することと、ご自宅でのトレーニングを組み合わせ行います。歯並びを悪くする癖そのものを改善するため、治療後に歯並びが元に戻る「後戻り」のリスクが少ないとされます。
プレオルソ
プレオルソは、マイオブレースと同様に、お口の機能を改善することを目的としたマウスピース型矯正装置です。特に、すきっ歯の原因となりやすい「口呼吸」を「鼻呼吸」へ促すことに重点を置いています。プレオルソは弾力性のあるポリウレタン製で、装着時の痛みが少ないのが特徴です。装着時間は日中1時間と就寝中だけでよいため、学校生活への影響がありません。
口呼吸が改善されると、舌が正しい位置に収まりやすくなります。その結果、お口周りの筋肉のバランスが整い、顎の健全な発育が促され、すきっ歯などの問題の改善が期待できます。
インビザライン矯正
インビザライン矯正は、永久歯がほぼ生えそろった中高生から大人まで用いられるマウスピース型矯正装置です。インビザラインファーストと似ていますが、治療の目的が異なります。
ファーストが「顎の成長を利用したスペース作り」を主目的とするのに対し、インビザライン矯正は「歯そのものを精密に動かして歯並びと噛み合わせを整える」ことが目的です。透明で目立たず、取り外しも可能なため、見た目を気にする思春期のお子さんでも受け入れやすい治療法です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は歴史が長く、世界中で実績がある信頼性の高い治療法です。歯の表面にブラケットという装置を接着し、そこにワイヤーを通して力をかけ、歯を動かしていきます。この治療法の強みは、あらゆる症例に対応できることです。マウスピース矯正では難しいケースでも、確実な治療結果が期待できます。
装置は歯科医師が調整し、患者様自身で取り外せません。そのため、マウスピース矯正のように装着時間を自己管理する必要はありません。治療中は、虫歯や歯肉炎を防ぐために、丁寧な歯磨きが重要になります。
子どものすきっ歯の治療を検討している方は、
堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください

子どものすきっ歯の治療を検討している方は、堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください。お子さんの歯と歯の間に隙間があると、保護者の方はご心配になるかもしれません。
当院では、まず「なぜ隙間ができているのか」という原因を丁寧に見極めることから始めます。見た目だけでは分からない問題が隠れていることもあるため、多角的な視点で診断を行います。
診査・診断の結果を基に、お子さま一人ひとりにとって「治療が必要か」「どのタイミングで始めるのが最適か」を総合的に判断いたします。専門家の視点から、お子さまのお口の健やかな未来を一緒に考え、サポートいたします。