2025.12.26

乳歯に隙間がないとどうなる?リスクや原因、隙間を作る方法について解説

この記事を監修した人

C&C美原デンタルクリニック院長 杉田彰久

C&C美原デンタルクリニック院長

院長の杉田は成人・小児矯正を含めた各種先進医療を幅広く診療しており、口腔内の全体を診る全顎的な治療が可能です。特にマウスピース矯正治療を得意とし、MeLoS認定アライナー教育担当講師でもあります。患者様の希望や不安を丁寧に伺い、幅広い治療計画から患者様に適した治療方法を一緒に考え、地域のかかりつけ歯科医を目指しています。

お子さまの乳歯が隙間なく綺麗に並んでいると、「歯並びは問題なさそう」と安心してしまいがちです。しかし実は、その状態こそが将来の歯並びの乱れにつながる、大切なサインの場合があります。

乳歯に隙間がないと、「叢生(そうせい)」と呼ばれるガタガタした歯並びにつながることがあります。また、虫歯や歯周病のリスクも高くなってしまいます。

この記事では、乳歯の隙間の重要性から、その原因、ご家庭でできるトレーニングまで、お子さまの健やかな歯の成長のために知っておきたい情報を詳しくご紹介します。

乳歯に隙間がないけど大丈夫?

乳歯に隙間がないけど大丈夫?

お子さまの乳歯に隙間がないと心配する保護者の方は多いです。乳歯の時期は、将来の永久歯の準備期間であり、一般的に、乳歯の間に隙間があるのが良いとされます。永久歯は乳歯より大きく、もし乳歯が隙間なく並んでいる場合、永久歯が生えるスペースが足りなくなります。

スペースが不足すると、歯が重なったり傾いたりして、歯並びが乱れる「叢生」という状態になりやすいです。そのため、不安を抱え込まず、一度小児歯科や矯正歯科にご相談ください。

乳歯に隙間がないとどうなる?

乳歯に隙間がないとどうなる?

永久歯が生えるスペースを確保できない

乳歯と永久歯は大きさが異なり、永久歯は乳歯より大きいため、乳歯が隙間なく並んでいると、永久歯が生えるスペースが足りなくなることが多いです。このスペース不足が、将来の歯並びに影響を与えます。

永久歯が生えるスペースがないと、歯が重なり合って生えたり、ねじれたりして叢生(そうせい)となるリスクがあり、歯磨きがしにくくなります。特に犬歯は、他の永久歯が生えそろった後に生えてくることが多く、スペースがないと歯列の外側に飛び出して八重歯になることがあります。

上顎前突は出っ歯、下顎前突は受け口と呼ばれる状態で、これらの状態も、顎の成長と永久歯の生えるスペースのバランスが崩れることで生じる場合があります。

お子さまの顎の成長は一人ひとり異なり、乳歯列期の隙間の有無は、永久歯の歯並びを予測する重要なサインの一つです。

虫歯になりやすくなる

乳歯に隙間がない状態は、歯と歯の間が密着していることを意味し、歯磨きの難易度を上げ、虫歯になるリスクを高めます。歯と歯の間の虫歯(隣接面う蝕)のリスクが増加し、歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間には、食べかすや歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。特に、子供は自分で丁寧に歯を磨くことが難しいため、大人が仕上げ磨きをしてあげることが大切です。

乳歯は永久歯と比べてエナメル質が薄く、虫歯があっという間に深く進行することがあります。乳歯の虫歯を放置すると、下で成長している永久歯にも悪影響を及ぼすことがあり、将来の永久歯の健康や、お口全体の機能にも大きく関わってくるため、定期的な歯科医院でのチェックと適切なケアが非常に重要となります。

乳歯に隙間がない原因

乳歯に隙間がない原因

口呼吸をしている

本来、人間は鼻で呼吸をする「鼻呼吸」が自然な状態です。しかし、何らかの原因で口を開けて呼吸する「口呼吸」が習慣になっているお子さんが増えています。口呼吸をしていると、舌が上あごの正しい位置に収まらず、下あごの方へ下がってしまうことがあります。

結果として、上あごの骨が横に広がる力が弱まり、V字型のような狭いあごになってしまうことがあります。あごが狭く、十分に成長しないと、乳歯が抜けてから生えてくる永久歯が並ぶためのスペースが足りなくなります。

口腔悪習癖がある

口腔悪習癖とは、歯や顎の成長に悪影響を与えるお口に関する習慣のことです。特に幼少期に見られることが多く、将来的な歯並びや噛み合わせに影響を及ぼす可能性があります。指しゃぶりは、長期間にわたって強い力で続けると、上の前歯が前に傾きやすくなります。

また、開咬(前歯が閉じない状態)を引き起こすリスクも高まります。まずはその癖があることを認識し、専門家である歯科医師と相談しながら改善を目指していくことが重要です。歯科医師は、個々の状況に合わせた具体的な改善策を提案してくれます。

食事や姿勢などに問題がある

乳歯の時期の顎の成長と歯並びには、日々の食事の内容や姿勢が大きく関係しています。食事の問題として、軟らかいものの摂取が多いことが挙げられます。現代の食事は、軟らかくてあまり噛まなくても食べられるものが多いため、顎の骨への刺激が少なくなります。

姿勢の問題では、頬杖をつく癖があると、顎の骨や顔の骨格に常に偏った力が加わり、顎の左右のバランスが崩れることがあります。日頃から食事の内容や食べ方、姿勢に気を配り、健やかな成長をサポートしていきましょう。

乳歯に隙間を作るトレーニング

乳歯に隙間を作るトレーニング

ご家庭でできるトレーニングは、将来の永久歯が美しく並ぶための土台作りにつながります。咀嚼機能を高めるトレーニングは、顎の骨を丈夫に成長させます。歯ごたえのある食材を取り入れ、噛む回数を増やすことで、顎の骨の発育が促されます。

左右両方の歯でバランス良く噛むことも大切です。口腔周囲筋を鍛えるトレーニングは、顎の正常な発育を促し、歯並びに良い影響を与えます。口周りの筋肉を効果的に鍛え、鼻呼吸を習慣づける手助けとなるあいうべ体操を行いましょう。

口を大きく「あー」、横に広げて「いー」、すぼめて「うー」、そして舌を思い切り下へ「べー」と出す一連の動作を繰り返すことで、舌が上あごに正しく収まりやすくなります。意識して口を閉じる習慣は、口腔周囲筋の強化につながります。

乳歯に隙間を作る矯正方法

乳歯に隙間を作る矯正方法

予防矯正

予防矯正は小児矯正やI期治療とも呼ばれ、成長期に行われる矯正治療の総称です。永久歯が生え始める前の乳歯列期や、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に開始することが多いです。この時期は顎の骨がまだ柔らかく、成長する力を利用して歯並びを整えることが可能です。この治療の主な目的は、将来、すべての永久歯が正しい位置に並ぶためのスペースを確保することにあります。

具体的には、顎の健やかな成長を誘導し、永久歯の抜歯を避ける可能性を高めます。予防矯正で用いられる装置には、取り外し可能なマウスピース型の装置や、顎を広げる拡大装置などがあります。お子さんの顎の成長は個人差が大きいため、治療開始時期や装置の選択は、歯科医師による精密な診断に基づいて行われます。

インビザラインファースト

インビザラインファーストは、透明なマウスピースで歯並びを整える治療法の一つです。目立ちにくいため、お子さんも抵抗感なく始めやすいでしょう。特に、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期のお子さん向けに開発されました。

この治療法には、お子さまや保護者にとって大きなメリットがあります。取り外しが簡単なため、普段と変わらない生活を送ることができます。食事や歯磨きの際は、自分で取り外せるので、食べたいものを我慢する必要がありません。

また、歯磨きもしやすく、口腔内を清潔に保てます。定期的な通院で、歯並びの変化に合わせて新しいマウスピースに交換しながら治療を進めます。治療期間や費用は、お子さまの歯並びの状態によって異なりますので、まずは歯科医に相談してみましょう。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は歴史が長く、幅広い症例に対応できる確立された方法です。歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯に持続的な力を加え、歯を少しずつ動かして歯並びを整えます。ワイヤー矯正には、以下のような特徴があります。

叢生、出っ歯、受け口など、複雑な歯並びの乱れや噛み合わせの問題にも幅広く対応できます。さらに、顎の成長をコントロールすることも可能なため、子どもの矯正治療にも適しています。ブラケットとワイヤーが常に歯に力を加え続けるため、計画通りに歯を動かしやすいという利点があります。

ワイヤー矯正のデメリットとしては、装置が目立つこと、歯磨きがしにくくなることによる虫歯や歯周病のリスク増加などが挙げられます。

床矯正

床矯正は、取り外し可能なプレート状の装置で顎の骨を広げ、永久歯のスペースを作る矯正方法です。顎が小さく、永久歯のスペースが不足しているお子さまに適しており、乳歯から永久歯への生え変わりの時期に、顎の成長する力を利用して治療を進めます。

この治療法には、お子さまの顎の成長をサポートするメリットがあり、食事や歯磨きの際は装置を取り外せるため、食べたいものを我慢する必要がありません。歯を直接動かすより、顎の骨全体を横に広げることに重点を置き、将来永久歯が無理なく生えやすくなります。

ただし、床矯正は装着時間が長いほど効果が出やすい治療です。装着時間が短いと、期待通りの効果が得られないことがあるため、指示をしっかりと守ることが大切です。

ヘッドギア

ヘッドギアは、主にお子さまの大切な顎の骨の成長をコントロールするために使用される、口の外に装着するタイプの矯正装置です。顎の成長期にあるお子さま、特に上顎が過度に前に出ている「出っ歯(上顎前突)」の場合などに用いられます。

ヘッドギアの主な目的は以下の通りです。

  • 上顎の過度な成長を抑制する
  • 成長期のお子さんの上顎骨が前に出すぎないよう、その成長方向をより適切にコントロールします
  • 奥歯を後方に移動させる

ヘッドギアは、お子さんの顎の成長という非常に限られた期間を最大限に活用し、より良い歯並びと機能的な噛み合わせを実現するための非常に有効な手段の一つです。

子どもの乳歯に隙間がなくて不安な方は、
堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください

堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください

お子さまの乳歯に隙間がないことを心配される保護者の方は多いでしょう。乳歯期の適切な隙間の有無は、お子さまのお口全体の健康に深く関わる大切なポイントです。C&C美原デンタルクリニックでは、お子さまの歯並びや顎の成長を専門的な視点から詳しく診させていただいております。小児歯科や矯正歯科の知識を持つ医師が、お子様一人ひとりの状態と将来を見据えた最適な治療計画をご提案します。

早期に専門家にご相談いただくことは、将来的な抜歯の可能性を減らし、本格的な矯正治療の負担を軽減することにもつながります。まずはお気軽にご相談ください。無料の矯正相談会も開催しています。

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堺市美原区の歯医者 | C&C美原デンタルクリニック

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