2025.10.25
小児マウスピース矯正と他の矯正方法との違い。始めるべきタイミングはいつ?
この記事を監修した人
C&C美原デンタルクリニック院長 杉田彰久
院長の杉田は成人・小児矯正を含めた各種先進医療を幅広く診療しており、口腔内の全体を診る全顎的な治療が可能です。特にマウスピース矯正治療を得意とし、MeLoS認定アライナー教育担当講師でもあります。患者様の希望や不安を丁寧に伺い、幅広い治療計画から患者様に適した治療方法を一緒に考え、地域のかかりつけ歯科医を目指しています。
お子さまの歯並びを見て、「そろそろ矯正を考えた方が良いのかな」と感じていませんか。最近はマウスピース矯正をはじめ様々な方法があり、情報が多すぎてどれが最適なのか迷ってしまいますよね。
実は、子どもの矯正は単に見た目を整えるだけでなく、将来の健康を守るための大切な「投資」です。顎の骨が成長する6歳から7歳頃の「ゴールデンエイジ」を逃すと、将来健康な歯を抜かなければならない可能性も。
この時期だからこそできる治療が、将来の治療負担や抜歯のリスクを減らす重要な鍵なのです。この記事では、なぜ小児矯正が重要なのか、そして注目されるマウスピース矯正と他の方法との違いや、最適な開始時期について詳しく解説します。
小児マウスピース矯正と
その他の矯正方法の比較

マウスピース矯正とは
マウスピース矯正とは、透明なプラスチックで作られた取り外し可能な矯正装置で、お子さま一人ひとりのお口に合わせて精密に作製されます。
治療計画に沿って、形の異なるマウスピースを定期的に交換しながら、少しずつ歯と顎を正しい位置へと導きます。
小児矯正では、顎の成長を促し、バランスを整えることで、永久歯が適切に並ぶための土台作りを目的としています。顎のアーチを広げることで、これから生えてくる永久歯が窮屈にならず、きれいに並ぶためのスペースを作ります。
マウスピース矯正は、舌を正しい位置に導き、口周りの筋肉のバランスを整えることで、癖の改善をサポートします。歯並びが悪くなった原因にアプローチし、お口の機能を正常に育てることで、将来的な抜歯のリスクを減らすことを目指します。
ワイヤー矯正との違い
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという装置を接着し、ワイヤーを通して力をかけ歯を動かす矯正方法です。この方法は、歯並びの複雑な問題を解決するために広く用いられています。マウスピース矯正とは多くの点で違いがあります。
マウスピース矯正は、見た目を気にされるお子さまや、食事・歯みがきを普段通り行いたい場合に適しています。取り外し可能なため、日常生活での利便性が高い点が特徴です。
一方、ワイヤー矯正は、お子さまの協力度に左右されず、より確実に歯を動かせるというメリットがあります。特に、成長期の子供の骨格に合わせた矯正が可能です。お口の状態や生活スタイルに合わせて、最適な方法を選択することが重要です。
床矯正との違い
床矯正は、顎の骨を広げることを目的とした取り外し式の装置で、「拡大床」とも呼ばれます。装置の中央にあるネジを保護者の方が定期的に回すことで、装置の幅を少しずつ広げます。
床矯正の主な目的は、「歯列のアーチを横方向(側方)に広げる」ことで、顎を左右に拡大することです。顎の成長期にこの矯正を行うことで、永久歯が生えるスペースを確保し、将来的な抜歯のリスクを減らすことが期待できます。
マウスピース矯正は、歯列のアーチを広げると同時に、顎の前後的な成長を促したり、歯一本一本の傾きやねじれを三次元的にコントロールしたりすることができます。どちらの装置がお子さまに適しているかは、精密検査の結果によって判断します。
小児マウスピース矯正のメリット

顎の成長を促せる
小児矯正の最大の強みは、お子さまの成長期という貴重な時期を活かせる点にあります。マウスピース矯正は、歯を動かすだけではなく、永久歯が並ぶ土台となる顎の骨が、健やかに成長するよう正しい方向へ導く役割を果たします。
マウスピース型の装置には、この根本的な問題にアプローチする仕組みがあります。マウスピースを装着すると自然と口が閉じやすくなり、鼻呼吸を促します。
このように、顎の成長そのものをサポートすることで、永久歯が美しく並ぶための理想的な土台作りを目指せるのです。
成人矯正の負担を下げられる
子どものうちから早期に矯正を始めることは、将来の経済的な負担を大きく軽減することにつながります。小児矯正は「第1期治療」、永久歯が完全に生えそろった後に行う本格的な矯正は「第2期治療」と呼ばれます。
第1期治療で骨格的な問題を解決しておくことで、第2期治療が必要になったとしても、その期間や治療内容、費用負担を軽減できる可能性が高まります。
将来をより見据えて早期に適切な介入を行うことは、お子さんにとって非常に大きなメリットとなるでしょう。
抜歯せず矯正できる可能性が上がる
矯正治療で健康な永久歯を抜きたくないと思うのは当然です。大人の矯正で抜歯が必要になるのは、歯と顎のバランスが取れず、歯を並べるスペースが足りない場合が多いです。
小児マウスピース矯正では、顎の成長を促進することにより将来の抜歯のリスクを下げることが期待できます。具体的には、歯列弓の拡大や奥歯の後方移動によって、永久歯の萌出のためのスペースを確保します。
成長の力を利用して顎の大きさを整えることで、大切な歯を抜かずに美しい歯並びを実現できる可能性が高まります。
小児マウスピース矯正の
デメリット

子供のモチベーションを
親が管理する必要がある
子供のマウスピース矯正は、取り外し可能な大きな点がメリットですが、治療成果を大きく左右する課題にもなります。治療を成功させるには、1日に20時間以上の装着時間を必ず守る必要があり、装着時間が短いと歯が元の位置に戻ろうと強くします。
そのため、保護者の方がお子さまのモチベーションを上手に管理し、装着を毎日習慣づける工夫が欠かせません。定期的に歯並びの変化を確認し、「少し動いてきたね!」と具体的に褒めることで、治療への前向きな明るい気持ちを維持しやすくなります。
口腔習癖が改善しないと
治療が長引きやすい
歯並びが悪くなる背景には、遺伝的な要因だけでなく、「口腔習癖」と呼ばれるお口周りの無意識の癖が大きく関わっています。代表的な口腔習癖として、指しゃぶり、舌で前歯を押し出す、唇を噛むなどがあります。
これらの癖は、長時間にわたって歯や顎に不適切な力を加え続け、歯並びを乱す原因となります。もし癖が残ったままだと、装置で歯を正しい位置に動かしても、癖の力で元の位置に引き戻そうとする力が働き続けてしまいます。
そのため、矯正治療と並行して、お口周りの筋肉の正しい使い方を覚えるトレーニングに取り組むことが重要です。
成人矯正が
再度必要となるケースもある
成人矯正が再度必要となるケースもあります。小児矯正は専門的に「第1期治療」と呼ばれ、主な目的は、お子さまの顎の成長を利用し永久歯が並ぶための土台を整えることです。
しかし、すべての永久歯が生えそろった後、歯の位置や傾きを調整するためワイヤー矯正やマウスピース矯正による「第2期治療(本格矯正)」が必要となるケースは少なくありません。
重要なのは、第1期治療を行っておくことで第2期治療の期間を短縮できたり、歯を抜かずに済んだりと、お子さまの将来にとってメリットとなるという点です。
小児マウスピース矯正は
いつから始めるのがベスト?

お子さまの矯正治療を考える際、多くの保護者の方が悩むのが「いつ始めるべきか」というタイミングの問題です。小児矯正を始めるのに最も適した時期は、一般的に6歳から7歳頃といわれています。
具体的には、上下の前歯2本ずつが永久歯に生え変わった頃が、治療開始を検討する一つの分かりやすい目安です。
骨がまだ柔軟なため、マウスピース装置によって顎の成長を正しい方向へスムーズに導くことが主な目的となりますが、この時期に矯正を行うことで、将来的な歯並びの問題を未然に防ぐ効果も期待できます。
もちろん、お子さま一人ひとりのお口の状態や成長のペースによって最適な開始時期は異なります。
小児マウスピース矯正の
治療の流れ

まず、保護者の方とお子さまの歯並びに関するお悩みや、治療へのご希望を丁寧にお伺いします。その後、お口の状態を正確に把握するため、精密検査を行います。
主な検査項目
- 問診生活習慣やお口周りの癖(口腔習癖)などを確認します。
- レントゲン撮影顎の骨の大きさやバランス、永久歯の状態などを確認します。
- 3D口腔内スキャナーによる歯型の採取カメラでお口の中を撮影し、精密な歯型データを作成します。
精密検査で得られたデータをもとに、お子さまに合った具体的な治療計画をご提案します。治療期間の目安や費用についても、ご納得いただけるまで詳しくご説明します。
治療計画にご同意いただけましたら、お子さま専用のオーダーメイドのマウスピース装置を作製します。
装置が完成したら、いよいよ治療のスタートです。治療中は、計画通りに歯が動き、顎が順調に成長しているかを確認するため、1~2ヶ月に1回程度のペースで通院していただきます。
小児マウスピース矯正を
検討している方は、
堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へ
ご相談ください

小児マウスピース矯正を真剣に検討している方は、堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へぜひご相談ください。お子さまの歯並びは、見た目の問題だけでなく、将来の虫歯や歯周病のリスク、さらには全身の健康にまで大きく影響を及ぼす重要な問題です。
堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」では、お子さまの健やかな成長を最大限に活かし、将来的な抜歯のリスクを減らすことを目指した矯正治療をご提案します。
精密検査の結果に基づき、それぞれの治療法の利点や注意点を分かりやすくご説明し、ご納得いただいた上で最適な治療計画を立ててまいります。まずはお気軽にご相談ください。無料の矯正相談会も開催しています。