2025.12.19

一歳の受け口はどうすれば良い?治療開始時期や方法を歯科医師が解説

この記事を監修した人

C&C美原デンタルクリニック院長 杉田彰久

C&C美原デンタルクリニック院長

院長の杉田は成人・小児矯正を含めた各種先進医療を幅広く診療しており、口腔内の全体を診る全顎的な治療が可能です。特にマウスピース矯正治療を得意とし、MeLoS認定アライナー教育担当講師でもあります。患者様の希望や不安を丁寧に伺い、幅広い治療計画から患者様に適した治療方法を一緒に考え、地域のかかりつけ歯科医を目指しています。

お子さまの検診で「受け口ですね」と指摘され、さぞかし非常にご不安な気持ちでこのページを開かれた親御さんは少なくないでしょう。専門的には「反対咬合」と呼ばれる受け口は、実は日本人の5〜10%に見られる珍しくない症状です。

この記事では、一歳のお子さまに受け口が見つかった際の、具体的な治療開始時期やより適切な治療法について、歯科医師が丁寧に詳しく解説します。

子どもが一歳の時点で受け口が判明したらどうすればいい?

子どもが一歳の時点で受け口が判明したらどうすればいい?

受け口の治療を始めるべき年齢

お子さまの受け口の治療を始める最適な時期は、タイプや顎の成長段階によって異なります。一般的に、受け口の治療開始時期については、いくつかの考え方があります。

乳歯列期(およそ3歳頃まで)は、多くの場合で経過を観察します。乳歯列後期から混合歯列期(およそ3歳から12歳頃まで)は、受け口が自然に改善しない場合や、状態が悪化する傾向が見られる場合は、積極的に治療を開始することが推奨されます

具体的な治療法としては、取り外し可能な装置を使って顎の成長を促したり、悪い癖を改善したりする方法が主な選択肢となります。お子さんの受け口がどのタイプに該当するのか、いつから治療を始めるのが最も良いのかは、専門的な診断が不可欠です。

まずは矯正歯科専門医のいる歯科医院で相談し、お子さま一人ひとりに合った治療計画を一緒に考えていくことが大切です。

受け口の割合

受け口、専門的には「反対咬合」は、珍しい噛み合わせではありません。日本における反対咬合の割合は、これまでの調査によるとおよそ5%から10%程度に見られると報告されています。この数字は、決して無視できるものではありません。性別による大きな差はほとんどなく、男の子でも女の子でも同じくらいの割合で見られます。

受け口は遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に絡み合って発症することが多いです。一歳のお子さまの受け口がどのような要因によって引き起こされているのかを知るためにも、歯科医師による詳しい診察を受けることが重要です。

早期の段階で原因を特定し、適切な対応をすることで、将来的な歯並びや噛み合わせの問題を最小限に抑えることが期待できます。また、定期的な検診は、受け口だけでなく、他のお口のトラブルの早期発見にも繋がります。

一歳以降の子どもが
受け口になる原因

一歳以降の子どもが受け口になる原因

遺伝

「家族に受け口の人がいるから、うちの子もそうなってしまうのだろうか」と、遺伝について不安を感じる親御さんは少なくありません。確かに、受け口の原因として、遺伝的な要素は重要な側面を持っています。これは、顎の骨の大きさや形、歯の並び方といった骨格的な特徴が、親から子へと受け継がれることがあるためです。

具体的には、犬歯が生え揃っても隙間がなかなか閉じないケースでは、外科的な処置が必要になることもあります。心配な場合は、一度歯科医院を受診し、お子さまの歯並びが自然に改善する可能性が高いのかを専門家に見てもらうことが大切です。

口呼吸

私たちは通常、鼻孔で呼吸を行います。鼻呼吸は、空気を加湿したり、フィルターで異物をろ過したりする役割があり、体にとって非常に重要です。

口呼吸が安易に続くことで、舌の位置が本来あるべき正常な場所からずれてしまいます。舌が上顎に接していないと、上顎は内側から受ける舌の圧力が不足するため、十分に横方向へ成長しにくくなります。このように、上顎の成長が抑制され、下顎が前方に突き出される外力が加わることで、相対的に受け口の状態が助長されることがあります。

口腔悪習癖

お子さまが日常的に行っている特定の癖、「口腔悪習癖」も受け口の原因となり得ます。受け口に影響を与える主な口腔悪習癖には、指しゃぶり、舌突出癖(低位舌)、唇を吸う癖、爪を噛む癖があります。一歳を過ぎても指しゃぶりが長時間続くと、前歯に持続的な力が加わり、上の前歯が前方に傾いたり、顎の成長が阻害されたりすることがあります。

これらの癖は、お子さまがストレスを感じている時や退屈な時に無意識に行われることが多いです。悪習癖を早期に発見し、適切な方法で改善を促すことは、受け口の進行を防ぎ、顎の自然な成長を促す上で非常に重要です。

受け口を治療せずに
放置し続けるリスク

受け口を治療せずに放置し続けるリスク

噛み合わせが悪く胃腸に負担がかかる

正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯をわずかに覆う形になっており、食べ物を効率よく噛み切ったり、すりつぶしたりすることが可能です。しかし、受け口の場合、下の前歯が上の前歯よりも前に出ているため、前歯の機能が十分に発揮されません

お子さまは食べ物を前歯でうまく噛み切ることが難しくなります。食べ物が十分に咀嚼されないまま胃に送られると、消化器系に大きな負担がかかります。この状態が長く続くと、消化不良が起きやすくなり、お腹の不調を感じることがあります。

虫歯や歯周病になりやすくなる

受け口は、しばしば著しい歯並びの乱れを伴います。下の前歯が上の前歯より顕著に前に出ていることで、歯と歯が重なり合って生えたり、本来あるべき正常な位置からずれて生えたりすることがあります。このような不揃いな歯並びは、お口の中を清潔に保つことを著しく難しくさせ、歯と歯の間、歯の裏側、奥歯の溝、歯茎と歯の境目といった部分は、食べかすやプラーク(歯垢)がたまりやすくなります。

早いうちから正しい噛み合わせを整えることは、お子さんのお口の健康を長く守るためにも非常に重要なのです。

発音がしづらくなる

私たちは言葉を発する際、舌や唇、そして歯が協力し合って、様々な音を作り出しています。しかし、受け口のお子さんの場合、下の前歯が上の前歯より前に出ているため、舌が上の前歯の裏に適切に触れることが難しくなります。

  • サ行の音
  • タ行の音
  • ハ行の音

といった摩擦音や破擦音の発音が、特に影響を受けやすい傾向にあります。発音の明確さは、円滑なコミュニケーションの土台となるため、適切な時期に受け口を改善することが望ましいと言えるでしょう。

顎関節症になるリスクが上がる

顎の関節は、口を開閉したり、物を噛んだり話したりする際に複雑な動きをします。受け口のお子さんは、上下の歯が正常な位置で噛み合わないため、顎の関節にかかる力が不均衡になりやすいです。このような不自然な力が長期間にわたって顎の関節や周囲の筋肉にかかり続けると、顎関節に炎症が起きたり、関節円板がずれたりすることがあります

顎関節症の主な症状としては、口を開け閉めする際の顎の痛みがあります。将来的な生活習慣病の一つとも考えられる顎関節症のリスクを軽減するためにも、早期に受け口の改善を検討することが大切です。

受け口の治療方法

受け口の治療方法

予防矯正

予防矯正は、お子さんの成長期を利用して将来的な矯正治療の負担を軽減するための治療法で、特に顎やお口周りが大きく成長する大切な時期に行われます。この時期に適切な介入を行うことで、骨格のバランスを整えたり、永久歯が正しく生えそろうためのスペースを作ったりすることが主な目的です。これらの装置による治療とともに、受け口を悪化させる可能性のあるお口の悪い習慣を改善することも非常に重要です。

床矯正

床矯正は取り外し可能な装置で顎の骨の成長を促したり、歯列広げたりする治療法です。お子さんの顎の成長を良い状態へ導き永久歯が並ぶためのスペース作ることが目的です。

この治療使われる床矯正装置は食事や歯みがきの際に外せるため口の中を清潔に保ちやすい点がメリットです。装置に組み込まれたネジやスプリングを調整することで顎の骨を正しい方向へ成長させたり歯が並ぶアーチを広げたりします。毎日決まった時間装置を正しく装着し、定期的に歯科医院を受診して調整を行う必要があります。

フェイシャルマスク

フェイシャルマスクは、お口の外側に装着する装置で、主に上顎の成長が足りないタイプの受け口のお子さんの治療に使われます。フェイシャルマスクの主なポイントは以下の通りです。

装着方法 お口の中の上顎につけた矯正装置とゴムで連結して使います。
期待できる効果 成長期のお子さんの成長する力を利用して、上顎骨を前方に誘導し、上下の顎の位置関係を改善します。

治療計画は歯科医師とよく相談し、お子さまが無理なく続けられるように進めていくことが大切です。

チンキャップ

チンキャップは、下顎の過度な成長を抑制し、受け口の改善を目指す治療装置です。特に、下顎の骨が通常よりも大きく成長していることが原因で受け口になっている「下顎骨過成長」のお子さまに用いられます。下あごに後上方向きの力を加えることで、下顎の成長を後方に誘導します。

成長期のお子さまにとって、適切な治療を行うことが将来の美しい笑顔と健康な噛み合わせにつながります。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は透明なマウスピース型の装置を交換し歯並びを整える治療方法です。マウスピース矯正のメリットは目立ちにくいことと取り外し可能なことです。食事や歯みがきの際、装置を外せるためお口の中を清潔に保ちやすいです。

軽度から中程度の受け口や歯並びの改善に適しており、成長期のお子さまの顎の成長を利用し歯並びだけでなく顎のバランスも整えることが可能です。マウスピース矯正は、お子さまご自身で装置の取り外しや管理を行う必要がありご本人や保護者の方の協力が大切です。

一歳の子どもの受け口の治療を検討している方は、
堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください

堺市美原区の「C&C美原デンタルクリニック」へご相談ください

一歳のお子さまに受け口が見つかった際、親御さまは大きな不安を感じることでしょう。将来の成長に影響はないか、治療はどのように進むのか、様々な疑問が頭をよぎるかもしれません。お子さまの顎や歯並びは、全身の発育と密接に関わっています。適切な時期に専門的な診断を受け、適切な対応を始めることが非常に重要です。

当院「C&C美原デンタルクリニック」では、お子さま一人ひとりの成長段階や顎の骨格、歯並びの状態を詳しく診察いたします。予防矯正や床矯正など、様々な治療選択肢の中からお子さまに最適な方法を一緒に検討いたします。

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